日曜日の朝

毎週日曜日朝8時30分ごろ更新。役に立つことは書けません。

3月20日~26日 私たちから見たらもう要らないものでも

■4ヶ月ぶりに母と祖父の家の片づけに行った。しばらく行かないうちに隣人の旦那さんが亡くなり、反対の隣人の奥さんが脳梗塞か何かで倒れたそう。もう人のいない祖父の家だけ何も変わっていなかった。
いくつもあるたんすの中の服を捨て、雑紙を入れるのに適さない段ボールを潰し、きれいに梱包されたままのワープロの緩衝材を剥いだ。家電を買ったときのおまけでもらったらしい模型のお城の分別に悩んだ。陶器にしては軽いし、でも燃えそうな感じもしない。とりあえず陶器ということにした。
夏にスズメバチを閉じ込めた袋は中をあらためることなく口を閉じた。外から見る限りスズメバチはいなかった。
 
■実家にいたときはスズメバチは身近な生き物だった。全然好きではないけどよく家の中に入ってきたから。土地柄仕方のないことでそれなりに怖い思いもした。さいわい刺されることはなく、私は無事に生きている。
遠く離れた場所に同じ生き物がいて、同じように怯える生き物がいて、場所が変わったくらいじゃ性質は変わらないなと思う。
スズメバチは死ぬときに「私もう死にますのでみなさんあとよろしくねフェロモン」を出すせいで死んだスズメバチの周りに仲間が集まってくると聞いたことがあった。すべての蜂がそうなのかもしれない。なので殺虫剤を撒くときはもう死にますのであとよろしくねフェロモンが出ませんようにと願いながら吹きつけていた。死なすのも怖いから家の中に入って来ないでほしい。
 
■片づけを始めたころの母は生前祖父が使っていた紙おむつを湿布を取っておきたがった。「もしかしたらそのうち自分が使うかも」と。もったいないのもそうだろうし、母の年齢を(大げさに考えて)いずれ必要になると思ったのもそうだろう。ただ、最近の祖父の痕跡を残しておきたいのかもしれない。なんとなくそう思って残していた。
片づけを始めてから2年近く経つ。頃合いだと思ったので「お母さんが使うときにはきっともっといいものが出ているだろうからもういいよね」と聞き、許可を得て紙おむつと湿布を捨てた。祖父がよく着ていた服や歯ブラシなどの日用品はまだ手をつけていない。これは一番最後だなと考えている。
祖父の家は私の生家ではない。夏休みや冬休みに何日か行くだけの家。祖父母という存在を特別に好きだったわけでもない。だから容赦のない片づけができる。でも、だからこそ、そこに思い入れのある者の気持ちを蔑ろにしてはいけない。
もう家の主がいないこと、この場所にあるすべてのものの取捨選択を自分で行わないといけないこと、家の主と自分にとっての思い出を捨てる覚悟。
 
■仕事で会った人の話。
その人は高齢のひとり親の引っ越しを経験した。家には所狭しとものが並んでいて、引っ越し業者から「(間取りだけ見て)段ボールは60個くらいですね」と言われていた。きっと荷詰めの前にも要るもの要らないものをわけて捨てたのだろうけど、いざ荷物を詰めたらきっかり倍の段ボールができたそう。さぞどえらい量の荷物だったに違いない。私が当事者だったら前日まで泣きながら荷詰めしていただろう。
それだけではなく引っ越し先は部屋が1つ少ない。どうやっても荷解きをしきれないことが確定している。その人が休みの日に少しずつ段ボールを開けて「お母さん、もうちらし寿司はつくらないよね」と寿司桶を手放したりしているのだとか。デジャブだ。
 
■「私たちから見たらもう要らないものでも親にとっては思い出深くて、手放すために気持ちの整理をする時間が必要なんですよね」という話で納得しあった日。
 
■割愛したけどやはり高齢のひとり親ということで物件探しもかなり難儀したと言っていた。保証会社の審査が全然通らないのだとか。やっぱそうなのかあ。新しく引っ越しはできなくても賃貸の更新はできるんだろうか。
 
■ヤクルトが睡眠の改善に効くと聞いて実験中。夫も消化器官に不安があるので一緒になって飲んでいる。20日に飲み始めた。まだあんまりわからない。2週間も飲んだら何かわかってくるだろうか。ヤクルトは定期的にTwitterでバズる。睡眠、便通、肌荒れなどに効能があると言われている。
ヤクルトってすごいんだなと漠然と思っていただけだったけど、「ホルモンは脳よりも腸から出ている。生物の進化の過程で脳より先に消化器官があったと考えればさもありなん」という旨のツイートを見てからなるほどよい腸内環境にはそのくらいの効果はありそうだなと感じる。
鉄分サプリも引き続き飲んでいる。少し前に目覚めがよかったのが鉄分のおかげかと思っていたけど別にそうでもないっぽい。鉄分云々よりも睡眠時間の確保の方が大事なようす。そりゃそうだな。
引き続きやんわりと睡眠改善を図っていく。寝つきの悪さよなんとかなってくれ。
 
■部屋の改造。目の前の壁に棚がほしい。外出時に持って行くポーチとサプリメント(大袋入りなのでピルケースに移してもいい)、リップクリーム、目薬、鏡、財布、手帳につけているペンらへんを置きたい。書き出すと多いな。ポーチはいつも使うかばんにしまいっぱなしでもいいのかも。
無印の壁面収納がよさげで在庫確認したら通販にないし実店舗は中部、中国地方にしかないと言われる。悲しい。
壁に収納をつけるなら自分の目の前の壁だけおしゃれ壁紙シールみたいの貼っちゃおうかな。横90cm縦180cmくらいだからそんなに高くないだろうし。ここのスペースだけはやりたい放題しようかしら。
 
■2年近く不定期で通っているカフェがある。主に仕事で使っていてプライベートではほぼ行かない。
以前からベテランめいた風貌の店員3名ほどに「認識されている」と認識していたがついに認識されていることを確信した。毎度長居をしていて申し訳ないので今度菓子折りでも持っていこうかな。立地、サービス、混み具合すべてちょうどいいのでベテラン店員さんとは良好な関係を築いていきたい。こちらの仕事中に細やかな気配りもしてもらっているし。
数千円の出費でいい関係が築けるならする方がいいという母の実体験に基づいた教えでもある。
 
村上春樹『女のいない男たち』読了。
1行ごとににおいたつ立つ村上春樹臭がものすごい。おしゃれすぎて自分のおしゃれ偏差値と比較してしんどくなるときもある。
話はどれもおもしろかった。「木野」がよかったなあ。主人公のハードボイルド感がある空気と不穏さが絶妙だった。おしゃれ文章だから不穏なのに小気味いい、そのせいで緊迫感がない。でもページを繰るごとにどんどん怖くなってはいる。このバランスよ。やっぱ一流の作家ってすげ~、文章うめ~とめちゃめちゃ当たり前のことを思った。
路地裏で小ぢんまりした飲食店とか探偵事務所をつくる人ってだいたい男性で苗字は木野だよな。この他に知ってる木野は『木野塚探偵事務所だ』しかないけど。しかも厳密には「木野」じゃない。
「ドライブ・マイ・カー」は映画の長さのイメージだったせいで短編なのを忘れていた。急に終わってぎょっとする。映画版はこの短編集全体の内容を少しずつつまんでいたんだなあ。こちらを読んでから映画を思うと出来がよすぎる。もう1回見てみたいな。
 
 
長嶋有『もう生まれなくない』も読了、書き忘れ。
日常の小さいあるあるを拾い上げる名手。なんでもない些細な1文が好きだ。いい。生きるのは自分を含めた多くの人間の日常の連続で、その連続の中には自分を含めた多くの人間の生死が関わっている。こういうものを書けるようになりたいよなあ。書けるというかもっと言うと気づけるようになりたい。なんでもない日常が続いていくのは間違いなく奇跡で、その中の細かいシーンがあとになってたまらなく美しく感じることもある。そういうことをなるべく覚えておけるようになりたいな。
 
 
■夫が車関係で実家に帰っている。朝、夫が身支度している最中から、どんな心境の変化かわからないけど急に掃除した。もう十分使ったなと思える手拭いを切ってがっちりトイレ掃除をした。わが家の歴史がもっとも感じられる部分なので一気にすべては終わらない。それでも手拭いでよく拭けて気が済んだ。新しく買った洗剤も好調でいい。定期的にこの感じで掃除していきたいが、はたして。
夫が出てから布団もあげて軽く掃除機をかけてウェットシートで拭いた。また夫がダニ的なものに噛まれてている痕跡があったので寝具も何点か洗う。毛布に掃除機をかけてあげたかったけど思いついたのが布団をあげたあとだったので断念。
台所や換気扇周辺の壁も拭いてみた。やりたい放題の掃除である。壁は時間が経った汚れがあって落ち切らない。薄めた洗剤をキッチンペーパーにつけて貼っておくのはありなんだろうか。
掃除をしたいとまめに漠然と思っている。がほとんどひとりで時間がたくさんあるのときにしかしない。なんでだろう。ふたりいると掃除の規模が大がかりになりすぎる気がするし、音頭を取るのが自分だから嫌なのかもしれない。多分あらゆることを自由にやらせてくれ派なんだろうな。
 
■配当が2社から入る。お通夜損益でも配当をくれるありがたさよ。1社で仕事1.5回分くらいの配当が出るのはありがたいな。
今回配当をくれた会社は完全に配当目当てで買っていた。メイン商品は別に好きではない。いい配当をくれるので気に入っているくらいの銘柄。配当の通知書と一緒に送られてきた事業計画書で日ごろ買っているメーカーの親会社だったことを知る。なんだよ言ってよ~。そういうことなら俄然買う意義が出てきた。
別に買い増しはしないけど。そこを買い増しするなら他を買う。分散する方が優待が増えて嬉しいから。
 
■今月もたくさん仕事させてもらって嬉しい気持ち。今年は本当にすごいな。勢いがある。この調子で1年やっていきたいな。せっかくだし新しい内容のものも出そうかな。やれることはなんでもやっていこう。せっかくだし。
夫に立替分などで渡すお金を仕事の通帳からおろした。少しまとまった金額である。今年にの売り上げからそれだけ払えてとても誇らしい気持ち。
 
■スピの配信を聞く。自分が感知できている世界ではないからおもしろさ由来で信じつつもどこか他人事というか、遠い場所でのことだとも思っている。その世界を批判する文章を読んで「まあわかる」と頷いている。多くの物事に対してそう。自分はどっちのスタンスなんだろう。困っちゃないけどどちらかを信じきれないのは居心地が悪い。
座りの悪さのなかで「あなたは物事の両面を公平に見るね」と言われたのを思い出した。私はどちらの意見にも納得していい。両方の意見を取り入れながら時間をかけて判断していけばいい。急がなくていい。
いろいろなことに冷めた目を向けてしまうのもそういう性質らしいんだった。スピ関係なく地が厨二病なだけと言われたらそれまで。解散。
 
■今興味を持って接しているのは精神科医名越先生のドキドキ文芸部実況です。含蓄がすぎる。ギャルゲーだけどギャルゲーではないので実況を見るときはくれぐれもお気をつけて。
 
おわり
 
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